旅行会社を売却(M&A)するときのポイント。旅行業を欲しい方はいます!

今回は旅行会社・旅行業を経営する方に向けて「旅行会社・旅行業を売却する前に考えること」というテーマでお伝えします。2020年より新型コロナウイルスの影響で、観光・旅行業界は大きな影響を受けていますよね。

そのことで今後の事業展開について、事業転換や売却を検討している方も増えているのではないでしょうか?そこで今回は、少しでも有利に事業売却を進めたい方に向けて、役立つ情報を解説していきます。是非最後までお付き合いください。

旅行会社・旅行業について

旅行会社とは「旅行者の依頼により旅行の手段から宿泊施設の予約・手配、及びパッケージツアーにおいては旅程の管理をする」事業を営む企業です。旅行会社は大きく「総合旅行会社」と「専門旅行会社」に分けられます。総合旅行会社とは、日本だけでなく世界各地の旅行パッケージツアーの提供から、航空券や宿泊施設などの手配まで行う会社です。一方で専門旅行会社とは、「北欧専門」や「東南アジア専門」などのように、特定の国やエリア、その他アクティビティなど旅行パッケージツアーを専門に扱う会社です。明確に定義付けされているわけではありませんが、専門旅行会社ではその専門性を生かした特別なプランが用意されていることが多いですね。また、旅行会社には旅行業の登録が必要で、「第1種旅行業」「第2種旅行業」「第3種旅行業」「旅行業者代理業」と分けられます。登録している種類によって、取り扱いできる業務の範囲が異なります。

旅行業界について

国内旅行者については、年々減少傾向にあります。しかし、2013年頃から訪日外国人の増加に伴い、旅行業界全体の売上はやや上昇傾向となっています。旅行業界全体の過去の推移を見てみると、2014年から2017年まではほぼ横ばい、2018年から2019年にかけては若干の増加に転じています。ところが、2020年に入ると新型コロナウイルスによる影響が世界的なものとなり、渡航制限が行われるようになりました。そのことで2020年3月以降の訪日外国人の数は激減し、前年同月比では90%以上の減少となっています。この先も、見通しは不透明な状態が続くことが予想されています。別の切り口では、業界全体としてオンライン特化型旅行会社の台頭により、店舗型旅行会社は苦戦を強いられるようになっています。店舗型旅行会社もオンライン型へ舵を切っており、インターネット予約の需要を取り込む動きが活発になっています。旅行業界におけるネット販売やIT化は今後も進んでいく流れとなり、業界としては大きな転換点を迎えていると言えそうです。

買い手目線で見るポイントについて

旅行会社の事業売却における、買い手目線で見るチェックポイントについて解説します。買い手側は、拠点や顧客の獲得による事業拡大を念頭にしているケースが多く、その目線を踏まえたポイントが重要です。その詳細についてまとめましたので、これらを理解することで高額売却するためのヒントが得られるでしょう。

旅行業の登録種別について

旅行業の登録種別には「第1種旅行業」「第2種旅行業」「第3種旅行業」「旅行業者代理業」の4つがあるとお伝えしました。旅行業を始めるには、これらへの登録手続きが必要です。また、旅行業協会に登録する場合は別途手続きが必要になります。買い手が新たに旅行業を始める場合は、これらも見られるポイントになるでしょう。

店舗拠点型 or オンライン特化型

店舗を軸にした事業であるのか、オンライン特化型の事業であるのかは重要なポイントです。特に業界全体の流れとして、旅行代理店におけるオンライン化の強い流れがあります。そのため、店舗を拠点とした旅行代理店によるオンライン特化型企業の買収も、そのノウハウやシステムを手に入れるために盛んになっています。また、買い手が店舗を軸にしている場合は、事業規模の拡大を念頭にしていることが多く、売り手側の展開エリアとその規模が重視されるでしょう。

自社の独自性について

売り手側の企業が、独自性のあるコンテンツやサービスを持っているかも重要ポイントになります。背景には、旅行業界全体として、徴収できる手数料が減少傾向にあるからです。そのため、旅行会社では顧客の取り込み競争が激化しています。そのことから、買い手側としては特徴のある個性的な企業を取り込むことで、独自サービスを自社で提供できるようになることを狙っています。

従業員の状況について

買い手側は、売り手側が抱えている優秀な人材を取り込みたいと考えているため、その従業員を獲得できるかは重要なポイントです。特に、日本は人口縮小かつ高齢化の流れが強く、国内だけで見れば長期的にも旅行者は縮小傾向。そのため、訪日外国人向けのサービスに注力する企業も多く、グローバル人材の獲得は急務です。そのようなグローバルに活躍できる優秀な人材が、経営譲渡後も引き続き活躍してくれるかどうかは大事なポイントと言えます。

旅行会社の売却に準備すべきことは?

旅行会社を売却する際のチェックポイントを理解した上で、実際の売却までに考え準備すべきことをまとめました。これらに備えることで、旅行会社・旅行業の高額売却に繋がる可能性が期待できるでしょう。

自社のコンセプトを見直してみる

独自性のあるプラン販売に注力する、エリアを絞り尖ったプラン販売に特化するなど、大手が手掛けない独自性を追求してみましょう。買い手側は、独自性のあるサービスを持つ企業の、ノウハウを取り込み事業拡大を考えています。2020年から始まる新型コロナウイルスの影響で、訪日外国人の受け入れ状況も今後見通しがわからない状況ではありますが、これらの取り組みを今から進めることで、その後の高額売却に繋がる可能性が高くなります。

オンライン集客の強化

旅行サイトだけでなく、ホームページやSNSを活用した集客の強化を進めましょう。時代背景としても、人々がインターネットやSNSに携わる時間が増えています。特に若い世代については、ほとんどのことをインターネットで完結させてしまう時代です。SNSの情報発信では、プランの独自性だけでなく自社の魅力を伝えていくことも可能です。SNSの活用による認知拡大で集客の仕組みが回り始めれば、そのことによる業績アップで高額売却に繋がるでしょう。

従業員の教育強化

改めて従業員の研修や教育に力を入れ、営業スキルや語学習得、ITスキル向上などのサポートを行いましょう。特に、訪日外国人をしっかりと対応できるグローバルに活躍できる人材や、ITシステムやSNSにも強い人材がいれば、買い手目線において高評価ポイントになるでしょう。

まとめ

以上、いかがだったでしょうか。旅行会社を売却するときは、買い手がチェックするポイントを理解し、そのことを踏まえた上で準備を進めましょう。旅行業界は、国内の需要が減少し訪日外国人の取り込み含めた競争が激化する中で、新たな取り組みや独自性が求められています。そのような経営努力を怠らないことが最終的なより良い事業売却に繋がります。今回お伝えした内容が、旅行業を売却する際に少しでも役に立てば幸いです。