パーソナルジムを売却(M&A)するなら。パーソナルトレーナービジネスの市場動向。

「結果にコミット」のフレーズが話題となった、RYZAP社に代表されるパーソナルジムの需要は、年々高まっています。アメリカ発祥のパーソナルジムが日本で注目を浴びている背景には、日本の平均寿命が延び、高齢化社会であることや、健康・運動に対する意識の高まりなどがあります。今回は、パーソナルジムのメリットや市場規模、パーソナルトレーナーの将来性、M&Aの動向などについて解説します。

パーソナルジムとは

パーソナルジムとは、顧客の一人ひとりに専属のトレーナーが付き、その人に合ったトレーニングメニューを提案し、二人三脚で理想の体型を目指していくジムのことです。基本的にトレーニングは「個室」で行われるため、従来のフィットネスジムのように多くの利用者と同時間帯に譲り合ってマシンを使うことはありません。一室の中にエアロバイクや鏡などが設置されていて、トレーナーと一緒にトレーニングを行います。

パーソナルジムのトレーナーはパーソナルトレーナーと呼ばれ、もともとはプロスポーツ選手などのアスリートをサポートする存在でした。体の仕組みや運動における豊富な知識と技術を有したパーソナルトレーナーのトレーニングは、フィットネスクラブを利用するより高額で、2ヶ月で20~30万円程度が相場です。

2000年頃までは、利用者の多くがプロスポーツ選手や芸能人、企業エグゼクティブなどばかりだったパーソナルトレーニングも、ライザップのテレビCMを皮切りにフィットネス業界に徐々に浸透し、今では主婦やサラリーマンなどの一般の顧客も急増しています。

「キレイな身体になりたい」「健康を維持したい」という女性や高齢者も増え、健康のために運動、トレーニングを行う人が増えてきています。

フィットネスジムとの違い

パーソナルジムと従来のフィットネスジムとは、何が違うのでしょうか。ここでは、主な違い2点について解説します。

客単価、サービスの質が高い

パーソナルジムのトレーニングメニューの利用料金は、基本的にフィットネスジムよりも高額です。しかし、自分のペースや好みに合わせてメニューを組めるため、多人数で受けるレッスンよりも、早い効果が期待できます。結果としてコストパフォーマンスの高いサービスとなり、時間を大切にするビジネスマンやOLにも人気があります。

パーソナルな空間で利用できる

パーソナルジムの多くは個室でトレーニングを行うため、トレーニング中の風景を他の利用者に見られることはありません。そのため、トレーニングに集中できる環境が整っています。パーソナルジムのメニュー料金には、プライバシーに配慮しながらトレーニングを行える「安心感」や「居心地の良さ」も含まれていると言えます。

パーソナルジムのメリット5つ

パーソナルジムを利用するメリットは、何なのでしょうか?ここでは、メリット5つについて解説します。

結果が出やすい

パーソナルジムを利用する最大のメリットは、結果が出やすいことです。パーソナルジムではトレーニングに入る前の計測や生活習慣のカウンセリングを徹底し、顧客だけのプログラムを組んでくれます。自分に合ったメニューを提案してくれるため、続けやすく結果も出やすいと言えます。

食生活、体のつくりを見直せる

パーソナルジムでは、食事カウンセリングを行っています。いつどこでどんな物を食べているのかをヒアリングし、詳しく内容を分析してもらえます。トレーニングメニューと食生活の改善を並行して行うことで、短期間でキレイに痩せられる効果が期待できます。また、「太りやすい体質」は体のゆがみが原因の場合もあります。パーソナルジムでは、骨盤や骨のずれなど体のつくりを見て、改善につながる専門的なアドバイスをもらうこともできます。

トレーナーが励ましてくれる

自己流ダイエットの場合は、辛くなっても励ましてくれる人がいないため、断念しやすい傾向があります。しかし、パーソナルジムのトレーニングなら常にトレーナーという伴走者がいますので、辛くなった時も励ましてもらえます。継続しやすく、最後までやり遂げやすいメリットがあると言えるでしょう。

サボらず、続けやすい

パーソナルジムのトレーニングは、1~2ヶ月程度の「短期集中」プログラムが多いです。このような短期間のメニューには、続けやすくサボりやすい特徴があります。内容的にちょっとキツイな…と思った場合にも、専属のトレーナーに相談してメニューを変更してもらうなど、柔軟に対応してもらうことができます。

女性特有の悩みが解決

女性が感じやすい体の不調には、「冷え性」「便秘」「肩こり」などがあります。その多くは「体のゆがみ」と「運動不足」の解消により、改善できます。顧客のレベルに合ったトレーニングを行うパーソナルジムに通うことで、正しいフォーム・適切な負荷を伴った運動を行うことができ、柔軟性や筋力が高まります。一度正しいフォームを身に付け、日常生活でも実践できれば、マッサージや整体のように通い続ける必要が無い点は、嬉しいメリットと言えるでしょう。

パーソナルジムの市場規模

「2019レジャー白書」(発行:公益財団法人日本生産性本部)によると、2018年のフィットネスクラブ市場は約4,800億円でした。このうち、パーソナルジム最大手のライザップ社の売上高は300億円を超えています。現在では独立で個人事業も増えてきたため、日本のパーソナルトレーニング市場は1,000億円規模と推測されています。パーソナルトレーニング業界はメディアの影響で認知が高まり、近年急速に拡大しています。

パーソナルトレーナーの将来性

パーソナルジムに欠かせないのが、マシンなどの設備とともに優秀なトレーナーです。パーソナルジム業界で生き残れるかどうかは、雇用するトレーナーの質に左右されると言っても過言ではありません。運動学、栄養学などの知識が豊富で、運動と食生活の両面における的確な指導が可能なトレーナーが求められており、パーソナルジムの拡大とともに、パーソナルトレーナーの需要も高まっています。

パーソナルジムのM&Aの動向

パーソナルジム業界全体のM&A案件は、少しずつ増加しています。現在、パーソナル業界のトップシェアはライザップ社が占め、残りを中小企業と個人事業主が占める形となっていますが、今後ますます競争の激化が予想されています。資本力に乏しい中小規模・個人経営のパーソナルジムの場合、自然淘汰の可能性も否定できません。市場自体は拡大傾向にあるため、食品メーカーやサプリメント会社など、親和性の高い業態からの新規参入も予測されています。

まとめ

パーソナルジムは、高齢化や健康志向が進む現代社会において、人気の高い業態の一つです。より「個別指導」を求める利用者にとっては、個室でトレーニングできるパーソナルジムのメニューは最適なプランと言えるでしょう。また、自己流では断念しがちなトレーニングも、伴走者がいることで継続しやすく、成果を上げやすいというメリットがあります。パーソナルジム業界のM&A案件は少しずつ増えており、優秀なトレーナーや安定した顧客数、運営ノウハウなどのあるパーソナルジムにとっては、しばらくは売り手市場が続くと予測されています。