ハウスクリーニング・家事代行業の売却前(M&A)に準備すべきこと

ハウスクリーニング・家事代行事業を経営している方に向けて「ハウスクリーニング・家事代行業の売却前に準備すべきこと」というテーマでお伝えします。2020年から始まる新型コロナウイルスの影響もあり、働き方としてリモートワークが浸透し始めました。そのこともあり、ハウスクリーニングの利用件数は上昇傾向にあります。

そのような中で、今後の市場拡大期待を受けて事業の高額売却を狙う経営者様もいらっしゃるのではないでしょうか?そこで今回は、ハウスクリーニング・家事代行事業を売却したい方が、少しでも有利に進めるために役立つ情報をまとめました。是非最後までご覧ください。

ハウスクリーニング業について

ハウスクリーニング業は清掃業の一種で、住居や不動産物件を対象に、その清掃を業務として行う事業です。開業に必要な費用が少なく少額で事業を始めやすいこと、特別な資格が不要で参入障壁が低いこともあり、個人で開業する人が多いのが特徴です。具体的なサービスとしては下記があります。

  • ハウスクリーニング
  • ビルクリーニング
  • 特殊清掃

現状では、個人宅のハウスクリーニング業のみで経営を継続するのが難しく、ビルの清掃などを含めたビルメンテナンス業や、住居やオフィスの現状回復に伴う清掃業、新築・リフォーム美装業を並行して行う事業者も多いです。フランチャイズ経営が多いのも特徴で、地域で相互に協力し合い経営するなども一部で行われているようですね。

ハウスクリーニング業界について

2019年度の生活支援サービスの主要5分野(家事代行サービス、ハウスクリーニングサービス、ホームセキュリティ、見守りサービス、家具・家電レンタルサービス)の市場規模は前年度比0.9%増の4,770億円と推計されています。

ハウスクリーニング業は、サービス認知度の向上と共に、利用者の増加が傾向として見られていました。ところが、新型コロナウイルスの影響を受けて対面でのサービスが敬遠される流れがあり、堅調な成長に歯止めがかかってしまった状況です。しかし中長期的に見れば、今後も高齢化や共働き世代の増加で、家事代行として個人による利用者の増加も見込まれます。オフィスの利用や人々の生活様式も多様化が進み、清掃業や家事代行サービスの需要も見込まれ、今後も成長が期待される市場と言えるでしょう。

買い手目線で見るポイントについて

ハウスクリーニング・家事代行業の事業売却における、買い手目線で見るチェックポイントについてお伝えします。買い手側は、拠点や顧客の獲得による事業拡大を念頭にしているケースが多いです。その目線を踏まえた上で、特に重要であるポイントをまとめています。このポイントを理解することで、事業売却を有利に進めるためのヒントが得られるでしょう。

業態について

どのような業態で経営しており、どのような顧客をターゲットにしているかが重要なポイントです。なぜなら、現状では一般家庭のみをターゲットにした「ハウスクリーニング業」だけでは、軌道に乗せ継続するのが難しいからです。ビルメンテナンス業に伴う清掃や、賃貸マンションやアパート、テナント等の現状回復工事に伴う清掃、古くなった家のリノベーションやリフォームした際に作業を行う美装業など、並行してどのような事業を営んでいるかがポイントになります。

開業エリアについて

既にハウスクリーニング業を経営している買い手の場合、どのエリアに開業しているかがポイントです。事業規模の拡大を狙う買い手は、買収によるシナジーが生まれるかどうかを考えています。そのため、業態の種類だけでなく開業エリアも重要になるのです。また、新たに開業しようとしている買い手であっても、エリアマーケットの需要と競合の状況は非常に重要です。開業エリアによって需要の多い業態も異なるので、エリアにおける需要と競合のデータを準備できると尚良いでしょう。

備品の状況について

ハウスクリーニング・家事代行業は初期費用が少額で開業できるのが特徴ですが、一定の備品などの準備は必要です。事業売却時に、事業に要する備品類をそのまま引き継ぐ場合に、その経過年数と状態が重要なポイントになります。例として、事業に必要な物について挙げます。

  • 車両(移動に要するもの)
  • 掃除道具:金属ブラシ、高圧洗浄機、床洗浄機、送風機、ポリッシャー、スクイージー、サンダー

これら事業に必要な備品について、買い手が新たに買い揃えることなく引き継げるかがポイントですね。

集客状況について

ハウスクリーニング・家事代行業は、参入障壁が低く個人で開業するケースが多いため、競合も増えやすいのが特徴です。その背景からも、他店舗との差別化、リピーター客の状況など集客に関する情報が非常に重要です。新規客とリピーター客、紹介でご利用頂けている顧客の情報などが、明確な数字として定量的にまとめられていると望ましいでしょう。

ハウスクリーニング事業の売却時に準備すべきことは?

ハウスクリーニング・家事代行業の売却を有利に進めるために、事前に準備すべきことについてまとめました。チェックポイントを理解した上で、これからお伝えすることを準備頂くことで、事業の高額売却に繋がることが期待できるでしょう。

差別化への取り組み

どの業態でどのようなコンセプトを元に、どのような顧客を獲得するのか、他社と比較した自社の強みを明確にしましょう。不景気になると、個人で開業する人が増えると言われるハウスクリーニング業界。競合が増えやすい業界でも、エリアの需要と供給の状況を踏まえた上で差別化ポイントを明確にすることで、現在の売上アップも期待できます。そのことによる収益アップで、高額売却に繋がる可能性があるでしょう。

備品状況の改善

現在使用している備品を新しく買い替える、綺麗で清潔に保つようにするなどの改善に取り組みましょう。なぜなら、ハウスクリーニング業も開業に一定の初期費用がかかるため、買い手に掛かる開業コストを軽減することが大切だからです。備品類が資産として高額に計上されれば、そのことで事業の売却を有利に進められるようになるでしょう。

集客の仕組み化

チラシなどの集客施策だけでなく、ホームページのSEO対策やGoogleマップの対策などを強化しておきましょう。ハウスクリーニング・家事代行業は実際に訪問して作業をするため、開業エリア周辺の集客が軸です。近隣エリア向けの集客施策が、継続して回るような仕組み化されていることが資産になります。また、リピーターの顧客情報も一覧にまとめておくことが望ましいですね。

まとめ

以上、いかがだったでしょうか?ハウスクリーニング・家事代行業を売却する際は、買い手目線でチェックポイントを理解し、評価される事柄を押さえて準備を進めることが大切です。今回お伝えした内容が、事業売却を検討されている経営者様の少しでもお役に立てれば幸いです。