風力発電の売却、売りたい

日本エネルギーを解決する風力発電

近年欧州を中心となった呼びかけでSDGsやエネルギーミックスのあり方を社会全体が意識するようになってきました。その動きは欧州だけに限らず国内でも今後さらに発展すると見込まれており、特に電力供給などのエネルギー産業では省エネなどの持続可能性を考慮した対策が要求されます。自然エネルギー事業のM&Aを機に再生エネルギーを拡大し解決しようとする動きが近年数多く見られます。なかでも風力発電は海に囲まれた島国の特性を活かした洋上風力発電など将来性があるため、その技術を手に入れようと多くの会社がM&Aを検討しています。
そこで今回は日本の風力発電のM&Aについて海外の事例を参考に迫ります。

風力発電の最新情報や現状

次世代のエネルギー供給として有望な風力発電は1991年にデンマークで初めて建設されて以来約30年の歴史があります。当時より風力発電事業は欧州がリードしており日本では2007年に初めて建設されました。そのため世界と日本を比較すると技術力や市場規模などに大きな差が生じています。

風力発電の国際事情とは?

欧州で一番風力発電が設置されているドイツでは2019年に243台の陸上風力発電が追加で設置されたものの、過去20年間の中で一番設置数が最も少ない年になりました。しかしドイツ国内のエネルギーミックスでは風力発電が原子力、石炭を抑え最大シェアを占め、欧州を中心に風力発電を中心としたエネルギ供給へと着実に変化しています。
また、それに伴い2017年には16万人以上が風力発電事業で雇用されていることが確認されておりエネルギー市場の中心を担っていると言えます。

世界に視野を広げると、2019年には世界の風力発電総容量が651GWと前年度比較で10%増量し、自然エネルギーの中で風力発電は水力の次に急成長している分野になります。また、中国やアメリカの風力発電導入のトップシェアは依然変わらず世界をけん引しています。
しかしながら2020年に発生したコロナウイルスの影響で経済が停滞し、その影響がどれほど風力発電事業に及ぼすかは確認されていないため、コロナ後に注視しなくてはならない。

日本国内の風力発電の市場と近年の傾向

では日本国内の風力発電事情はどういった現状なのでしょうか?
日本の発電電力量の構成を確認すると2018年度で再生エネルギーは全体の16%、そのうちのたった0.7%程度しか風力由来の電力は占めていません。そのため太陽光や水力などの他の自然エネルギーより遅れをとっている現状です。
しかし2016年度末までに2203基、累積設備容量は335.7万kWまで拡大してきており、2000年以降着実に風力発電市場は成長していると言えます。
しかし世界では発電コストが低下しているのにも関わらず国内の発電コストは高いままであったり、設置場などの課題は未だ多く残っています。

風力発電が抱えるトラブルやリスク

風力発電の現状について紹介してきましたが、では実際に風力発電事業を行う際にはどのようなトラブルやリスクがあるのでしょうか?

環境面でのトラブル

アメリカをはじめとする多くの先進国が経済計画において風力発電などの再生可能エネルギーのインフラ整備を推進しています。日本でも同様に国土交通省などが風力発電事業を推進しています。しかしこのように国が関与する大規模な事業は環境保全を意識する人々からの反発がおきやすくなります。風力発電を設置する理想的な場所は風速が確保される山間や沿岸部などの自然豊かな地域が多く、物資搬送のため幅5m以上の道路整備なども必要になってくるため、大幅な環境変化を余儀なくされる地域住民や環境団体とのトラブルはつきものです。

法律面でのトラブル

風力発電の事業を行うにあたって注意すべき法律がいくつもあります。例えば再エネ特措法や電技省令、再エネ海域利用法などエネルギー面のみで13以上の法律が関与してきます。さらに事業では地域住民の土地を開拓するなど大きな変化を起こします。環境アセスメント手続きが必要でない小規模の場合でも自治体との相談、コミュニケーションが必須になります。もしこういった取組みをおろそかにした場合多くの法律に触れるため、規模や場所に応じて事前調査を行う必要性は十分にあります。

M&A成功のポイント

風力発電が抱えるトラブルを知ることはM&Aをする際にとても重要になります。特に風力発電は環境とビジネスの両分野から多くの課題を突きつけられます。そのため事前に抱えるトラブルやリスクを正確に把握していないとM&A後の事業経営で困難が予想されます。
そこで風力発電市場が既に発展している海外市場から風力発電事業のM&Aより成功の秘訣を紐解き、国内でのさらなる風力発電事業の成功のヒントとして活用しましょう。

海外M&Aにおける成功要因分析

2019年に行われたM&Aで、ドイツに本社を置く世界最大級の投資家所有の電力サービス会社であるE.ONが同国のInnogyを合併・統合の一環として再生エネルギー事業をRWE社に譲渡しました。RWEはアメリカ、アジア、欧州と国際的な発電取引を行う会社で、事業譲渡によってさらなる再生可能エネルギー事業の発展を可能にしました。

さらにE.ONは世界でもいち早く洋上風力発電を取り入れていた会社になり、2018年までは世界最大の洋上風力発電であったロンドンアレイの建設にも参加していました。
そのような会社が電力網や電力取引を世界的に行う会社とM&Aを行うことで風力発電をはじめとする再生可能エネルギーから生まれた電力のコスト低下を実現できました。

さらに注目すべき点はM&Aをおこなった時期にあります。M&Aが行われたのは2019年で、SDGsやエネルギーミックスなどの中間目標期にあたる2020年の一年前です。
中間目標期の以前にM&Aを行うことで目標の進展度に応じて次世代のエネルギー供給の柱として事業が社会に求められるように促したとされます。こういった戦略がM&Aを成功させたと言えます。

日本国内で成功させるポイント予測

海外の成功例としてドイツのエネルギー会社をあげましたが、その事例から日本で成功させるポイントを予測してみましょう。
キーワードは2つ
風力発電のコスト低下
エネルギーミックス2030の先を見越した事業計画

海外で風力発電が成功し日本で失敗する大きな原因は未だに風力発電がコスト高のままであることです。さらにエネルギーミックス2030に向けて現在のままでは目標達成できない見込みが判明し、社会全体が持続可能を意識しています。風力発電事業が期待されていることもその一環ですが、2030年が最終目標ではなく、さらに2050などと持続可能実現のために目標は作り続けられるため、10年後エネルギーミックス2030を達成できるのかを予測し、2050年のカーボンニュートラル目標などさらに先を見越す必要があります。こういったポイントを抑えることでM&Aは格段と成功に繋がるでしょう。