ペットブームの中で経営状態が非常に好調に見える動物病院。
確かにペットブームによって市場全体の規模は大きくなっていますが、それに伴い小さな動物病院が単独で生き残ることは非常に厳しくなっています。
また、動物病院は事業承継も新規開業も非常に難しいという特殊な事情があるので、実はM&Aが非常に向いている業界でもあります。
動物病院の現状とM&Aの有効性や将来像について詳しく解説していきます。
動物病院業界の現状とは
動物病院業界は次の5つの問題点を抱えています。
- ペット高齢化に伴い高度な技術が設備が必要
- ペットの多様化によってより高い専門性が必要
- 富裕層も多く付加価値が求められる
- 後継者不足
- 新規開業は難しい
設備投資が高い上に事業承継も新規開業もできないという特殊事情があるのが動物病院業界の大きな特徴です。
動物病院業界の現状について詳しく解説していきます。
ペット高齢化に伴い高度な技術が設備が必要
近年、飼い主の意識の変化、栄養環境の向上、医療技術の向上などによってペットも高齢化しています。
そして、2000年代初頭のペットブームの頃に飼われ始めたペットが今高齢化しており、動物医療業界も高齢化の問題に直面しています。
高齢なペットはさまざまな病気を抱えているので、動物病院は高度な設備と技術が必要になりました。
人材確保や設備投資のための資金確保という問題に動物病院業界は直面しています。
ペットの多様化によってより高い専門性が必要
ペットブームを経て、ペットの種類もさまざまに多様化しています。
そしてペットの種類が増えれば増えるほど、その数だけの医療技術も必要です。
ペットの多様化に伴い、動物病院は以前よりも高い専門性が求められるようになっています。
富裕層も多く付加価値が求められる
ペットを飼っている人の中には富裕層も多数存在します。
そのような人を満足させるためには、高級な設備に加えて充実したトリミングなど、やはり高額な設備投資が必要になります。
また、医療技術も進化し、MRIやCT検査が行われ、再生医療や予防医療も始まっています。
これらの設備もこれからの動物病院は導入しなければなりません。
以前であれば、人間の病院ほどには設備投資が必要ではありませんでしたが、最近の動物病院では高級で高額な設備と、充実した医療機械の導入が求められるようになっています。
後継者不足
動物病院は生涯勤務医として働くことが難しい業界です。
そのため、多くの獣医師が30代で独立をしてしまいます。
獣医師が引退しようとしても、後継者となる勤務医がいないというケースも少なくありません。
後継者が見つからずに廃業してしまう動物病院も多いようです。
新規開業は難しい
ペットが今高齢化していることを鑑みれば、今後は動物病院にかかるペット数は少なくなっていきます。
業界全体が縮小傾向にある中、新規で開業して売上を確保していくことは簡単ではありません。
今後は新規の開業も今のように容易に行うことはできないでしょう。
なぜ動物病院でM&Aが必要なのか
動物病院が抱える様々な問題点をM&Aが解決することができると言われています。
主な理由として次の4点が挙げられます。
- 廃業する動物病院を買収できる
- 優秀な若手を雇用できる
- 資本の投下によってより高い満足度を付加できる
- 異業種による買収で顧客満足度が上昇
これらの理由によって動物病院の後継者不足や設備の高級化・多様化などの問題を解決することが可能です。
動物病院がM&Aを必要とする4つの理由について詳しく見ていきましょう。
廃業する動物病院を買収できる
後継者が見つからずに廃業する動物病院を買収することができれば、当該病院の従業員や設備や患者を丸々継承することができます。
買収する側にも廃業する側にもメリットがあります。
優秀な若手を雇用できる
動物病院を買収することによって優秀な若手を雇用できます。
30代で独立開業することが一般的な勤務医ですが、今は開業することも難しくなっています。
そこで大きな資本を持っている会社が買収することによって優秀な若手獣医を引き続き雇用し続けることができます。
資本の投下によってより高い満足度を付加できる
買収によって資金を投下すれば、MRIやCTなどの高価な医療機器を導入することが可能です。
富裕層が多くなる中、顧客満足度を引き上げることが今後の動物病院業界の課題ですが、買収によって多額の資本を投下することで、顧客満足度を引き上げることができる高額な設備を導入することができます。
異業種による買収で顧客満足度が上昇
ペットショップなどの異業種が動物病院を買収することによって、買収した側の付加価値が大きく上昇します。
例えば動物病院併設型のペットショップであれば、他のペットショップでは得ることができない圧倒的な安心感をペットショップに付加できるのでペットショップも動物病院も売上向上が期待できるでしょう。
動物病院業界はM&Aでどう変わる?
動物病院業界はM&Aで大きく変わると言われています。
M&Aがもたらす動物病院の進化や将来像について考察していきましょう。
若手の獣医師の働く先確保
既存の動物病院業界では若手の勤務医は勤務医として働き続けることが難しいのが実情です。
高額な給料を支払い続けることも難しいですし、業界の慣例として30代くらいで独立することが足り前のようになっています。
しかし、今後は動物病院業界の経営も楽ではないので、新規開業も難しいのが実情です。
M&Aによって大きな資本に買収された動物病院であれば獣医師を引き続き勤務医として雇用し続ける資本があるので、若手の獣医師は働く場所を確保しやすくなります。
高度な技術と専門性を追求できる
大きな資本によって買収すれば、高額な設備を導入することも可能です。
今は医療技術が進んでいますが、それに伴う高額な設備を個人病院では資金面の問題から導入することが難しくなっている現実があります。
M&Aによって設備面を充実させることができれば、ペットに対してより高度な医療を提供できます。
医療本来の役割を全うできる可能性が高くなるでしょう。
動物病院の廃業を防止できる
動物病院は後継者不足の問題から今後さらに廃業が加速していくのではないかと危惧されています。
M&Aによって廃業を希望する動物病院を買収すれば、動物病院の廃業を防ぐことが可能です。
廃業しそうな動物病院を買収すれば、若手の獣医師やスタッフの雇用確保にもつながりますし、地域から動物病院が消えることも防ぐこともできます。
雇用や地域に対してM&Aが貢献することができるでしょう。
まとめ
動物病院は後継者不足による廃業と新規開業の困難さという2つの課題に直面している業界です。
医療技術も進歩していることから、進歩に伴う設備の導入も必要です。
M&Aであれば動物病院が抱えるこのような課題を解決できる可能性があります。
動物病院のM&Aを検討しているのであれば、豊富な実績と案件を抱える専門家へ相談しましょう。