調剤薬局の現状と今後の見通し|調剤薬局売却(M&A)のメリットとは?

独立し安定した経営状態を保っているイメージのある調剤薬局ですが、実は日本には調剤薬局の数が非常に多く、将来的には飽和状態を解消するためM&Aが進んでいく業種であると言われています。
社会的に背景が変わっていく中で、調剤薬局が単独で生き残るのは今後苦しくなるでしょう。
また、調剤薬局を買収することによって買収企業は様々なメリットを受けることができます。
調剤薬局の今後と調剤薬局を買収するメリットについて詳しく解説していきます。

調剤薬局の現状

調剤薬局の現状は非常に厳しい経営環境にあると言えるでしょう。
その主な原因は次の理由によるものです。

  • 調剤報酬改定による経営悪化
  • 経営者の高齢化による後継者不足
  • 大手チェーンとの競争激化による小規模薬局の経営悪化

調剤薬局の経営環境が厳しくなっている3つの理由について詳しく開設していきます。

調剤報酬改定による経営悪化

調剤報酬の減少によって病院の前に構えるような門前薬局の経営は悪化しています。
2018年の調剤報酬の改定によって特定の医療機関からの処方箋集中率が高い薬局は基本調剤料を引き下げられました。
また、財務省はさらなる調剤報酬引き下げを求めており、今後、大手の門前薬局でさえ経営状態はさらに苦しくなっていく見通しです。
今後は「特定の医療機関からの処方箋集中率が高い薬局だけを売却して会社全体の収益率を維持する」などの施策が求められるでしょう。

経営者の高齢化による後継者不足

個人で調剤薬局を営んでいる店舗では経営者の高齢化が深刻です。
調剤薬局は大手の寡占が進んでいない業界の1つで、個人経営も多数あります。
しかしそのような薬局の多くが後継者が存在していないケースが多く、今後は後継者不在によって廃業になる薬局が増えていくと予想されます。

大手チェーンとの競争激化による小規模薬局の経営悪化

大手のドラッグストアが相次いで調剤業務に参入しています。
これまでは、特定の病院患者の調剤の多くの請け負うことで成り立っていた薬局ですが、大手ドラッグストアの参入によって、ドラッグストアと戦わなくてはならなくなりました。
今、日用品や食料の買い物も一緒にできる便利な大手ドラッグストアに、患者の多くを取られており、個人経営の薬局は経営が非常に苦しくなっています。

調剤薬局を買収するメリット

買い手企業にとって現在営業中の調剤薬局を買収することには次の4つのメリットがあります。

  • 人手不足の薬剤師を確保できる
  • ドラックストアは調剤業務も可能になる
  • 仕入れ価格が下がる
  • 地域の寡占化が可能になる

まだまだM&Aの進んでいない調剤薬局を買収することには多くのメリットがあります。
4つのメリットについて、詳しく見ていきましょう。

人手不足の薬剤師を確保できる

薬剤師は増加傾向にありますが、調剤業務に慣れた技術のある薬剤師を確保することは簡単ではありません。
既存の調剤薬局を買収することによって、調剤業務に長けた優秀な人材を確保することができるのは薬局を買収する大きなメリットです。

ドラックストアは調剤業務も可能になる

大手のドラックストアでも調剤業務を行っていないケースも少なくありません。
そのようなドラッグストアが調剤薬局を買収することによって、調剤業務に参入することが可能になります。
ドラッグストア業界も競争が加熱してます。
店舗に付加価値をつけ、競争力を強化するためにも、調剤薬局を買収することによって調剤業務を行うことができ、調剤目的で来店した人による売上UPを期待できるでしょう。

仕入れ価格が下がる

複数の薬局を経営している会社が、買収によってさらに規模を大きくすればそれだけ仕入れ価格を下げることができます。
多くの店舗のために1つの製薬会社から大量に薬を一度に仕入れることによってスケールメリットが作用し、仕入れ単価は下がります。
診療報酬が下がっていく中、どのようにしてコストを抑えるかは調剤薬局の課題の1つですが、M&Aによってこの課題を解決することが可能です。

地域の寡占化が可能になる

薬局業界は寡占化が進んでいない状態で、その数はコンビニよりも多いと言われています。
買収によって薬局を傘下に入れることによって地域の調剤業務を寡占することが可能になります。
今後、調剤報酬がさらに下がれば、個人店舗が生き残ることは難しくなるため、大手の寡占化が調剤薬局業界においても進んでいくと言われています。
時代に先駆けて調剤薬局を買収することによって、地域において調剤業務寡占し、全国チェーンの大手に対抗できるでしょう。

調剤薬局の今後

今後、調剤薬局はさらに厳しい時代がやってくると言われています。
その理由として次の3点をあげることが可能です。

  • 寡占化が進み調剤薬局は半減する?
  • 異業種が参入する
  • 調剤報酬はますます下がる可能性がある

これからの調剤薬局の見通しについて詳しく見ていきましょう。

寡占化が進み調剤薬局は半減する?

調剤報酬の減少によって個人薬局が生き残ることは非常に厳しくなる見通しです。
必然的に市場原理が働き、調剤薬局は競争力と資金力のある大手に集約化されていくことでしょう。
現在は個人経営がまだまだ健在で、コンビニエンスストアよりも数が多いと言われる調剤薬局ですが、今後は大手の進出やM&Aの加速によって個人経営は少なくなり、大手の寡占化が進み、調剤薬局数は半減していくことが予想されています。

異業種が参入する

さらに、今後は異業種が参入するのではないかと言われています。
資金力や集客力のある大手スーパーなどが調剤業務を始め、調剤も買い物もワンストップでできるような形が予想されています。
資金力や規模がないと生き残ることが難しくなる調剤業界において、最終的に強いのは大手スーパーチェーンなどです。
これまではドラッグストアが調剤業務に参入してくる程度でしたが、将来的には大手スーパーなどの異業種が調剤業界に参入することが予想されます。
個人経営の調剤薬局はますます厳しい環境になっていくでしょう。

調剤報酬はますます下がる可能性がある

すでに調剤報酬は減少傾向にありますが、財務省はさらなる調剤報酬の引き下げも要求しています。
これまでは2年に1回の改定だった調剤報酬の改定ですが、今後は年に1回ペースの改定になるので、年々調剤薬局の経営は苦しくなっていくことが予想されます。

まとめ

調剤報酬の改正によって、特定の病院からの処方箋集中率が高い薬局などは調剤報酬が下がっています。
収益を維持するためには、調剤報酬の低い店舗は売りに出し、高い収益率の店舗だけを残すというような対策が求められます。
また、調剤業務とは無関係なドラッグストアや異業種が新規参入のために調剤薬局を買いたいという需要があるのも確かで、調剤薬局の売買は売りたい側も買いたい側も双方にメリットのある案件になる傾向があります。
最適なM&Aの相手を探すのであれば、豊富な情報を持っているプロへまずは相談しましょう。